相続財産の評価方法と評価基準:不動産、現金、株式の扱い方

相続税を計算する際、まず相続財産の評価を正確に行うことが必要です。評価額は、相続税の負担を大きく左右するため、それぞれの財産に応じた適切な評価方法を理解することが重要です。

ここでは、代表的な相続財産である不動産、現金、株式の評価方法と評価基準について詳しく解説します。

1. 不動産の評価方法と評価基準

不動産は、相続財産の中でも特に評価が難しく、専門的な知識が求められます。不動産の評価は、主に以下の方法で行われます。

路線価方式

路線価方式は、国税庁が毎年発表する路線価に基づいて土地を評価する方法です。路線価は、道路に面した標準的な土地の1平方メートルあたりの価格を示しており、この路線価に土地の面積を掛けて土地の評価額を算出します。

路線価は、公示地価の約80%程度で設定されており、一般的にはこの方法が最も多く用いられます。ただし、土地の形状や接道条件、用途地域などに応じて補正が必要となることがあります。

固定資産税評価額方式

固定資産税評価額は、市町村が課税のために算定する土地や建物の評価額です。この評価額を基に、相続税の評価額を決定する場合もあります。特に、建物の評価においては、固定資産税評価額がそのまま用いられることが多いです。

不動産の市場価格

特定の不動産に関しては、実際の取引価格や不動産鑑定士による鑑定評価を参考にすることも可能です。市場価格が路線価よりも著しく低い場合や、特殊な条件がある不動産では、鑑定評価を用いることでより正確な評価が行えます。

2. 現金および預貯金の評価方法と評価基準

現金や預貯金は、相続財産の中でも比較的評価が簡単です。

現金の評価

現金は、被相続人が死亡した時点で保有していた金額がそのまま相続財産として評価されます。評価額に変動がないため、最もシンプルな評価方法です。

預貯金の評価

預貯金も現金同様、被相続人が死亡した時点での残高を基に評価されます。普通預金、定期預金、積立預金など、各預金の残高を集計し、相続財産として算出します。

ただし、預貯金の中には利息が付いている場合があり、利息の金額を加えた残高が評価額となります。また、外貨預金の場合は、死亡時の為替レートに基づいて円換算した金額で評価されます。

3. 株式の評価方法と評価基準

株式は、その種類によって評価方法が異なります。上場株式と非上場株式では評価基準が大きく異なるため、それぞれの評価方法を理解しておくことが重要です。

上場株式の評価

上場株式は、市場での取引価格を基に評価されます。具体的には、被相続人が死亡した日の終値を基準にするか、死亡日の月を含む以前3ヶ月間の終値の平均値を基準にするかを選択して評価します。この評価方法により、相続税の負担を最適化できる場合があります。

非上場株式の評価

非上場株式(未公開株)は、上場株式のように市場価格が存在しないため、評価が複雑です。非上場株式の評価方法は「類似業種比準方式」や「純資産方式」などが用いられます。

類似業種比準方式

類似する業種の上場企業の株価を参考にして評価する方法です。企業の収益力や資産価値などを基にして算出されます。

純資産方式

会社の純資産(資産総額から負債総額を差し引いた額)を基に評価する方法です。特に、資産の多い企業や収益力の低い企業では、この方法が適用されることが多いです。

これらの評価方法を組み合わせて非上場株式の評価額を決定します。

4. その他の財産の評価

相続財産には、不動産、現金、株式以外にも、保険金、退職金、貴金属、動産(車両や家具など)などが含まれる場合があります。それぞれの財産には、個別の評価基準が定められており、具体的な内容は税務署や専門家に確認することが推奨されます。

まとめ

相続税の申告において、財産の評価は非常に重要なステップです。不動産、現金、株式といった財産は、それぞれ異なる評価方法と基準が適用されるため、正確に理解しておくことが必要です。特に、不動産や非上場株式の評価は複雑であり、専門的な知識が求められることから、税理士などの専門家のサポートを受けることが重要です。

当事務所では、相続財産の評価から相続税申告まで、包括的なサポートを提供しております。相続に関するお悩みやご質問がございましたら、ぜひ一度ご相談ください。適切な評価と申告を通じて、安心して相続手続きを進められるようお手伝いいたします。

keyboard_arrow_up

0463268221 問い合わせバナー 無料相談について